サテュロスの祭典

少女ヌード写真の愛好家です。規制法が緩和され、少女ヌード写真美術復興と新作発表を目指し、果たされた暁には、設定年齢と同年齢の子役起用しての完全ノーカット無修正の実写化目指した小説を執筆します。茶化し冷やかし大歓迎、鋭いツッコミはお手柔らかにお願いします。#少女愛 #少女ヌード #西村理香 #力武靖 #清岡純子

紅兎〜想望編〜子兎

亜美にのしかかる男は、乱暴に乳房を揉み、執拗に乳首をしゃぶりながら、一層激しく腰を動かし始めた。
早朝一番、種付参拝に訪れた男は、半刻の間に何度刈穂を放った事だろう。
にも関わらず、参道を抉る穂柱は萎えるどころか、益々硬く怒張していた。
男は、乳首から口を離すと、獣の如き咆哮を上げた。
また、次の絶頂が近づいているのであろう。
亜美は、天井を見上げながら、歯を食い縛り布団をグッと握りしめて腰を上げた。
十になるかならずで、当時の神職者達の手で破瓜を迎え、稚兎となった。
稚兎の間、来る日も来る日も、絶え間なく種付を仕込まれた。
十二の時、初種付を迎えた。
以来、数えきれぬ程の男達を受け入れてきた。子供も二人産んだ事がある。
今更、これを辛いとか思わない。
かと言って、男好きな雪絵や茜のように、楽しむ気にもなれない。
まして、早苗のように…
『お願い、アッちゃん。お腹の薬と熱冷ましの薬、つくってくれない?』
『どうしたの?サナちゃん、また具合悪くてなったの?』
『ううん…今日、私のところにきたおじさんの子供が、何日も熱が下がらなくて、下痢が止まらないんですって。まだ、三つで小さいのに、とっても苦しんでるんですって。だから…』
『フンッ!そんなの知った事じゃないわ!種付参拝のスゲベのガキなんて、気にする事ないわ!どーせ、大きくなっても、親父と同じになるだけさ!』
『アッちゃん…』
『あー!泣かない!泣かない!わかった、わかった!調合してあげるわよ!調合してあげるから、泣かないで!』
『ありがとう!アッちゃん!』
あの子…
あんな連中に、何であんなに優しくなれたのだろう…
早苗は、種付参拝にやってくる男達一人一人を、まるで大切な家族や友達を迎えるように、暖かく出迎えていた。
どんなに乱暴に扱われても、幼い身体が壊れそうになる程弄ばれても、その人に対して優しい気持ちで接していた。
「亜美、ちょっと口で綺麗にしてくれないかな?」
男は、亜美の中に大量に放った穂柱を、唐突に鼻先に突きつけて言った。
先端から糸を垂らして上下する穂柱は、まだ怒張していた。
亜美は、無表情でそれを口に咥えて舐め始めた。
男は、また、獣じみた声を漏らしだす。
『あと、半刻…』
亜美は、棚の上に兎の人形と並ぶ砂時計を見つめながら思った。
『あと、半刻頑張ったら、サナちゃんと遊ぶんだ。』
男は、更に声をあげながら、自ら腰を振って、怒張した穂柱を亜美の口腔内に押し込んだ。
『サナちゃん、今日は何して遊ぶ?また、愛ちゃんの赤ちゃん抱っこして、兎さんの箱車に乗ろうか?雪で、雪兎や雪だるまを作ろうか?それとも…』
やがて、亜美の口腔内いっぱいに生臭い刈穂が放たれると…
「さあ、今度は四つん這いになって貰おうかな…」
男は、尚も怒張し続ける穂柱を亜美の口から引っ張りだすと、ニンマリ笑って言った。
「亜美、大人になったよな。」
事を終えた後…
男は、亜美の股間を覗き込みながら言った。
「初めて、おまえを抱いてやった時、此処には一本の毛も生えてなくて、綺麗な薄紅色をしてたもんな。」
亜美は、目線も合わせず、また兎の人形と並ぶ砂時計を見つめた。
『サナちゃん、覚えてる?境内の裏で飼っていた兎さん達の事…今もたまに遊びに来るのよ。また、遊びに来てくれるかな?』
男は、自らの放った刈穂でぐっしょり濡れた参道に指を入れて、掻き回し始めた。
「あの頃は、こうされるだけで目にいっぱい涙を溜めて初々しかったが…どうだ、今は気持ち良いだろう?いっぱい出して貰って、こうされて、気持ち良いんだろう?」
亜美は、不意に男の手を払いのけて立ち上がると、無言で着物を着始めた。
「おい、亜美…」
「もう、一刻過ぎたわ。」
「なるほど…」
男は、亜美の見つめる砂時計を見ると、またニッと笑った。
「俺は、おまえのそう言うつれないところが好きなんだ。早苗や愛をたっぷり可愛がってやった後、歯をむき出してくるおまえを抱くのも面白かったがな。」
「ようこそ、ご参拝下さいました。またのお越しを…」
亜美は、機械的に正座して深々と頭を下げると、棚に乗る兎の人形を抱いて、部屋を出て行った。
参籠所…
鱶見本社の兎神子達には、隠砦と呼ばれる湯殿に向かって、渡り廊下を歩いて行くと、何処からとなく、幼い声が聞こえてきた。
「ぴょんぴょん、ぴょんぴょん…」
すると、今度は赤子の笑い声が聞こえてきた。
亜美は、思わず微笑んだ。
日頃、いつも苦飯噛み潰したような顔してる彼女からは、想像つかぬ優しい笑顔だ。
「お父さん、早く早く。」
今度は、菜穂の急かす声と…
「よし来た!」
和幸の威勢の良い声が聞こてえ来る。
同時に…
「それじゃあ、里一さん、境内のお掃除お願いねー。」
「またで、ござんすかー!あっしはめくらでござんすよー!」
「それは大変だポニョ~。頑張るポニョ~」
と、雪絵、里一、茜の声が続く。
「まあ!また、ユキ姉ちゃんに茜ちゃん!後で、ユカ姉ちゃんと一緒にみっちり叱ってやらねば…」
今度は、眉毛を矢印にして、怒った顔…
「さあ!爺じ、お馬さん、ハイよーハイよー!」
「お馬さん、走るでごじゃる~。」
「おいおい!何でも良いけど、何だって、君達四人同時に乗るんだ!」
「ハイよだポニョ~。」
「爺じ、走った!走った!
愛、朱理、茜、雪絵の声が順番に聞こえてくると、プッと吹き出した。
「さあ!私も一風呂浴びて、行かないと!ねえ、サナちゃん!」
亜美は、胸に抱いていた兎に頬擦りと、隠砦に飛び込んで行った。
「ほらっ!遅い遅い!」
「もっと早く走るでごじゃる~」
「ポヤポヤ、ポニョポニョ~」
仔馬の箱車に乗る四人のうち、雪絵と朱理と茜は、赤子を抱く希美と菜穂を乗せた兎の箱車にどんどん差をつけられると、また、私を急かせ出した。
「遅いって…こっちは四人も乗ってるんだぞ!」
私が半ば悲鳴をあげて言うと…
「もう!カズ兄ちゃんに、この箱車にも橇をつけて貰ったのに!これじゃあ、仔馬さんじゃなくて、亀さんじゃない!」
雪絵が、怒った顔して、一層私を急き立てた。
「駄目だ!もう走れん!」
ついに匙を投げて、私が座り込むと…
「爺じ、お弁当。」
愛が、クスクス笑いながら、私の鼻先に曲げわっぱの弁当箱の蓋を開けて突きつけた。
中には、卵焼きと昆布巻きが、ご飯と仕切られて入っている。
「わっ!愛ちゃんのお弁当!」
私が思わず手を伸ばすと…
「向こうまで走ったらあげるね。」
愛は、弁当箱を引っ込めて言うと、箱車の乗組員は、一斉にクスクス笑い出した。
「しょうがないなー!」
私は、また、肩で息をしながら、箱車を押して走り出した。
やがて…
境内裏手にある、池の傍に建てられた小屋の前に辿り着いた。
昔、早苗がたくさんの兎を飼っていた小屋である。
常に扉が開け放たれたそこには、今は何も飼われていない。
すると…
『わあ!可愛い!』
私の耳の奥底に、あの日の早苗の声が蘇ってきた。
『サナちゃん、これが本物の兎さんよ。』
いつもしかめ面しか見せた事のない亜美が、小屋の中ではしゃぐ早苗の肩を抱いて、一緒に嬉しそうに笑っていた。
五年前…
社に赴任してきてばかりの頃、早苗はいつも寂しそうに俯いていた。
他の子供達が、御贄倉から宿房に移され、新しい着物着て、更にそれぞれ欲しい物を貰って、元気良く遊び回るようになっても、早苗は一人いつも泣いていた。
『君は、サナちゃんと言うんだね。何か欲しい物はないか?あれば、何でも言うと良い。』
私が言うと…
『坊やに会いたい…坊やにおっぱい飲ませてあげたい…』
早苗は、有るか無しかの乳房を撫で回しながら、声を上げて泣き出した。
『サナちゃん、大丈夫よ。坊や、お金持ちに引き取られたのよ。今頃、お腹いっぱいミルクを飲ませて貰ってるよ。』
何処からとなく飛んできた亜美は、早苗を抱きしめると、憎悪に満ちた眼差しを私に向けてきた。
『この子、赤ちゃんとられたばかりなのよ!この子を男達の玩具にさせて、無理矢理産ませたあんた達にね!放っておいてちょうだい!』
『赤子をとられた…無理矢理…私達に…』
私は、程なく事情を知った。
早苗は、私が赴任する少し前に、兎神子として産んだ赤子を取り上げられたばかりだったのだ。
更に、様々な事を知った。
早苗は、発育が遅く、実年齢より三つ以上幼い身体をしていると言う。しかし、何故か生理だけは早く訪れてしまい、非常に子供のできやすい子でもあった。
田打と称して、十歳になるかならないかで連日種付された早苗は、すぐに妊娠した。
身体が年齢よりも三つ以上も幼い早苗は、当然のように難産であり、出産は地獄そのものであったと言う。
しかも、その地獄は毎年訪れた。
毎年、妊娠したのである。
にも拘らず、早苗は妊娠する度に、赤子が出来た事をとても喜んでいた。毎日のように、赤子に話しかけては、産まれる日をとても楽しみにしていた。
そして、産まれて一月の間、目の中に入れても痛くない程可愛がり、その子を里子に出されては、号泣して悲しんだと言う。
早苗の寝床を見ると、枕元には、男の子の喜びそうな玩具が並べられていた。産んだ赤子は、皆男の子だったので、いつか会いに来てくれた時、渡すのだと言って集めているのだと言う。
それを聞き、私は度々、男の子の喜びそうな玩具を手に入れては、早苗に渡した。すると、早苗は玩具を愛しそうに抱きしめ、喜んでいた。
ある日…
また、男の子の玩具を早苗に渡した直後、亜美が私を睨みつけて言った。
『あんた、私達に何でも欲しい物を言えって言ったわよね!』
『うん。君も、何か欲しい物があるのか?』
それまで、幾ら声をかけても返事もせず、当然向こうから声をかけてきた事のない亜美が、漸く口をきいてくれたのである。
私は、内心飛び上がりたい気持ちを抑えて、亜美に問い返した。
『本物の兎…飼ってくれないかな?』
『兎?ここで、飼うのか?』
『やっぱりダメ?ダメなら良いよ!ダメなら!』
亜美は言うなり、不貞腐れたようにそっぽを向いて、去って行った。
『アァァーッ!アァァーッ!アァァーッ!』
亜美は、湯殿で参道の奥まで指を突っ込み、掻き回すように洗い流しながら、苦痛に呻く早苗の顔を思い出していた。
稚兎の田打は、神職者や神漏兵達の他に、社領の上流層や富裕層達によって行われる。崇敬会の顔役衆や秋桜会の大商工座衆と、その親類縁者達である。
顔役衆や大商工座衆達は、田打と言うよりは、既得権益による役得で、顔見せ前の稚兎を弄んで楽しんでいた。
同じ日に稚兎として引き取られた亜美と早苗は、いつも一緒に田打を受けていた。
『イッ!イッ!イィィーッ!!!』
早苗は、いつも亜美の隣で首を振りたてて呻き声をあげていた。
発育が遅く、年齢より三つ以上も幼い早苗にとって、子供を産むのも地獄なら、つくるのも地獄であった。
それでも、苦痛を口にする事を許されない点では、稚兎も赤兎と同じであった。
そんな早苗を、顔役衆や大商工座衆の男達は、手足を押さえつけ、寄ってたかって面白半分に弄び続けた。
『お願い!もう、サナちゃんにそんな事しないで!サナちゃんを虐めないで!』
亜美は、自身も絶え間なく弄ばれながら、必死に哀願した。
すると…
『何?早苗にやるのやめろってか?』
『つまり、おまえがされたいんだな?』
男達は、早苗を弄ぶ手を止めると、亜美の方を向いて、ニヤけて言った。
『どうした?おまえがされたいのか?違うのか?違うんだったら…』
男達が、亜美の方をニヤけて見つめながら、わざと早苗にのしかかろうとすると…
『私に…して…下さい…』
『聞こえねえなー。』
『私にして下さい!お願いします!』
亜美は、声を張り上げて言った。
『よしよし、そんなにして欲しいんなら、してやろう。』
男達はそう言うと、早苗から離れて、一斉に亜美に殺到した。
その中の一人が、今朝のあの男であった。
「あんな奴の刈穂なんて!あんな奴の刈穂なんて!」
亜美は、憎悪に満ちた声を漏らしながら、参道から男に放たれた刈穂を一滴残らず掻き出そうと、一層執拗に掻き回して洗い続けた。
「やめろ!」
不意に、喉から絞り出す声と同時に、大きな手が亜美の腕を掴んだ。
「ヒデ兄ちゃん。」
「また、御祭神から血を流して、そのうち子供を産めなくなるぞ。」
「良いよ、私、赤ちゃんなんてもう要らない!」
「僕の子供もか?」
「ヒデ兄ちゃんの…」
「兎神子を…解かれたら…僕の子を….産んでくれるんじゃ…ないのか?」
亜美は、表情のない秀行が、彼女にだけわかる潤んだ眼差しを向けると、漸く参道から手を離した。
秀行は大きく頷くと、懐から、亜美がいつも抱いている兎の人形を取り出した。
「わあ!かーいー!」
外から、また、幼い声が聞こえてきた。
「ぴょんぴょんだー!ぴょんぴょんだー!」
声は、兎小屋から聞こえて来る。
「サナちゃん…」
亜美は、秀行の差し出す兎の人形を抱きしめた。
『わあ!可愛い!』
脳裏には、また早苗の声が蘇る。
『これが、兎だよ。』
最初に産んだ赤子を取り上げられた直後、いつまでも泣き止まぬ早苗に、亜美はこの人形を差し出して言った。
『サナちゃん、私達がそう呼ばれてる兎って、どんな動物か見てみたいって言ってたじゃない。だから、作ってきたんだ。』
『ありがとう!』
早苗は、声を上げて兎の人形を抱きしめると、愛しそうに頬ずりをしたり、撫で回したりした。
『ねえ、この子のお母さんは?』
ひとしきり、兎の人形を抱きしめていた早苗は、不意に顔を上げて聞いた。
『お母さん?』
『この子、まだ赤ちゃんよ。お母さんいないと可哀想…』
亜美は、忽ち目を潤ませる早苗を見るや…
『お母さんには、サナちゃんがなってやんなよ。』
『私?』
『そう、サナちゃんがお母さん。』
そう言うと…
『そっか、私がこの子のお母さんか…』
早苗は、飲み手を失った乳首に兎の口を当てると…
『坊や、お母さんですよ。オッパイ、いっぱい飲んで大きくなりましょうね。よしよし、良い子良い子…』
言いながら、また愛しそうに頬ずりし始めた。
「あの兎達…また…来てるぞ。」
秀行は、いつまでも兎の人形を抱きしめ立ち尽くす亜美に、唐突に長尺手拭いをくるんでやった。
「兎達…」
「サナちゃんが…飼っていた…あの兎達の…子供達だ…」
「まあ!」
亜美は、明るい笑みを満面に浮かべて見せた。
小屋は、兎がいなくなった後も、毎日綺麗に清掃されていた。
早苗がまだ動ける間は、小屋の清掃は彼女の楽しい日課であった。
早苗が動けなくなると、兎神子達みんなの日課となり、それは早苗がいなくなった今も続いていた。
<p style="text-align: left;">日頃、社や境内の掃除を里一に押し付けたがる兎神子達だが、兎小屋の掃除だけは、むしろ競ってやりたがった。</p>
それは、皆にとってちょっとした楽しみがあったからだ。
「わーい!ぴょんぴょんだー!ぴょんぴょんだー!」
希美は、赤子を抱いて小屋の中に入るなり、飛び上がらんばかりに大はしゃぎした。
中には、兎の親子がやってきていて、元気よく遊び回っていた。
「まあ!サナ姉ちゃんの兎さん達、また遊びに来てたのね!」
菜穂も、満面の笑みを浮かべて顔を上げる希美を撫でながら、感嘆の声をあげた。
「サナちゃんの兎じゃないよ。その子供の子供のそのまた子供達だろう。」
和幸は、側にまとわりつく親兎を軽く撫でながら言った。
「まあ!お父さん、どうしてわかるの?」
「どちて、わかるの?」
菜穂と希美が、同じ格好で首を傾げると…
「僕は、サナちゃんの兎達を三代見てきている。皆、顔つきや毛並みが良く似てるが、親子で微妙に違ってる。その違いを重ね合わせて思い出すと、この親は四代目…
おそらく、山には大人になった五代目や六代目もいるだろう。」
和幸が言うと…
「それじゃあ、サナ姉ちゃんの兎さん達は、もういないの?」
「いないの?」
菜穂と希美は、また同じように首を傾げた。
「そうだね…」
和幸は言いながら、和幸の手から野菜の切れ端を食べる子兎を抱き上げると…
「きっと、何処かで元気に暮らしてるだろう。」
希美の前に差し出して言った。
希美は、腕の中の赤子と子兎を交互に見つめると、菜穂の顔を見上げた。
「そうよね。サナ姉ちゃんの兎さん達、とっても元気でお利口さんでしたものね。きっと、今も元気に暮らしてるわよね。」
菜穂は言うと、さりげなく希美の腕のから赤子を抱きあげた。
希美は、両手が自由になるや、満面の笑みを浮かべて、和幸の差し出す子兎を抱きしめた。
「ぴょんぴょん、ふわふわ、ふわふわ、かーいー。」
そこへ、漸く辿りついた、雪絵と茜と朱理が飛び込んできた。
「まあ!まあ!まあ!うさちゃん達、来てたのねー!!!!」
「ポヤポヤ~!みんな、元気にしてたポニョ~!」
雪絵と茜は声を上げるなり、そこらの子兎を全部独り占めに抱き上げようと、奪い合いを始めた。
「もう!茜ちゃん!独り占めは駄目よ!私にも抱かせて!」
「ユキ姉ちゃんこそ、全部抱っこしよーとして酷いポニョ~!私も抱っこするんだポニョ~!」
そこへ、朱理が駆けつけ…
「喧嘩は駄目でごじゃるよ!喧嘩は!仲良くみんなで遊ぶでごじゃるよ!でないと、愛ちゃんに叱られるでごじゃる!」
歯をむき出して睨み合う、二人のしょうのないお姉ちゃんの喧嘩を必死に止めに入った。
二人の争奪戦の憂き目にあった子兎は、この隙にとばかりに逃げ出して、全部まとめて、希美の腕の中に飛び込んでいった。
希美は益々嬉しそうな顔をして…
「赤ちゃん、ぴょんぴょん、ぴょんぴょん、かーいーねー。」
子兎達を一羽ずつ抱き上げては、菜穂の抱く赤子の前に差し出して見せた。
赤子は、希美の差し出す子兎が、頬に触れる度にケラケラと明るい声で笑い出した。
「爺じ!もう、爺じってば!座ってないで、早く行こう!」
愛は、小屋の前で座り込む私の手を引っ張り、声を荒げて立たせようとした。
「もう駄目…立てない…歩けない…お弁当、食べさせて…」
「何言ってるの!まだ、お昼までだいぶあるじゃない!駄々捏ねるんなら、もう連れてきてあげないわよ!」
「立てないったら、立てない!愛ちゃん、お弁当!」
私が一際大きな声を上げて言うと…
「もう!しょうがないわね!これだから、子供を連れて来るのは嫌なのよ!」
愛はそう言うと、仕方なしに風呂敷に包まれた曲げわっぱの弁当箱を広げて、私に差し出した。
「痴話喧嘩か?」
弁当に飛びつく私の傍で、愛が腕組みしてむくれると、絞り出すような声が、頭上高くから響いてきた。
「ヒデ兄ちゃん。」
愛は、六尺五寸ある秀行の顔を見上げると、背中に半分程しかない亜美の姿を見つけてニッコリ笑った。
「今日も仲良しさんで良いですねー。」
秀行におぶられた亜美は、少しはにかむように笑って返した。
「亜美姉ちゃんは良いなー。力持ちで優しくて、頼り甲斐のある旦那様がいて。私なんか…」
愛は言いながら、ジロッと私を睨み付けた。
「おいおい!そりゃないだろう!私は、君達四人も乗せた箱車を押して、散々走らされたんだぞ!なあ、ヒデ君。」
私が抗議するように言いながら、話を振るように秀行と目線を合わせると、相変わらず表情らしい表情は見られぬが、微かに口元を綻ばせた。
と…
その背中の亜美とも目が合いかけると…
一瞬、大きく口を開けて何か言いかけた亜美は、すぐ苦飯噛み潰したような顔をして、そっぽを向いた。
「わあ!チュンチュンも来た!」
やがて、また、希美が声をあげた。
幾種類かの小鳥が舞い込み、和幸達がまく餌を啄ばみ始めたからだ。
更に…
「リス!リス!」
希美は、いきなり肩に乗ってきたかと思うと、頬を口づけをする小さな生き物を見て、ケラケラ笑い出した。
「兎はぴょんぴょん、小鳥はチュンチュンなのに、リスだけは、ちゃんとリスでごじゃるか…」
掌に小鳥を乗せて餌をあげていた朱理は、首の周りをチョロチョロされて、くすぐったそうに笑う希美を見て、鼻の下を指先で擦りながら言った。
「そーよねー。一層、リスもチョロチョロとでも呼べば良いのに…」
雪絵が、親兎を抱き上げ、睨めっこしながら言うと…
「でもって、雪姉ちゃんは、コロコロ、プクプクだポニョ。」
茜は、子兎達に人参の切れ端を齧らせながら言った。
「それ、どーゆー事!」
雪絵が睨み付けると…
「最近、お腹とお尻にお肉がついてきたポニョ。」
茜が言った途端、辺りから爆笑の渦が巻き起こった。
と…
不意に、何かが朱理の足元を小突いてきた。
「あー!おまえも、来たでごじゃるか!」
朱理が振り向くと、一匹の赤毛の狐が、更に前足で朱理の足を小突き続けた。
「まあ!ゴンちゃんじゃない!」
雪絵が声を上げると、赤毛の狐は嬉しそうな声で鳴き、飛びついてきた。
「本当だポニョ!おまえ、元気にしてたポニョ?」
茜が言うと、今度は、雪絵の腕の中から、茜の方に向かって鳴き声をあげた。
「お父さん、ゴンちゃんよ!ゴンちゃん!久し振りねー。」
「本当だ!だけど、おまえ、家族はどうしたんだ?今日は、おまえ一匹だけで来たのか?」
菜穂と和幸も、久し振りの来客に声を上げると、雪絵の腕の中で元気いっぱい動き回る赤毛の狐の頭を交代で撫で回した。
ただ、朱理だけは腕組みして、赤毛の狐を睨み据えていた。
「どうした、アケちゃん?ゴンちゃんが来たの、嬉しくないのか?」
和幸が聞くと…
「おまえは、来ちゃダメでごじゃる!」
朱理は、口を尖らせて言った。
「何で?ゴンちゃん、可愛いじゃない。ねー、ゴンちゃん。」
雪絵が、甘えるように顔を擦りつけてくる赤毛の狐に頬ずりすると…
「こいつ、ウサちゃん達やリスちゃん達を追い回して虐めるでごじゃる。」
朱理は、ますます、頬を膨らませて言った。
すると…
「コンコン、かーいー。」
と、希美がそれまで抱いて遊んでいたリスを放して、赤毛の狐に手を伸ばした。
「そうよねー、ゴンちゃん可愛いわよね。」
雪絵が言いながら、赤毛の狐を希美に差し出すと、赤毛の狐は希美の腕の中に飛び込んで行った。
「コンコン、かーいー、かーいー。」
希美が嬉しそうに抱いて頬ずりすると、赤毛の狐は甘えるような声をあげて鳴き出した。
その時…
「わあ!本当に来てたんだー!」
亜美が、小屋に入るなり、子兔達を片端から抱きしめながら、感嘆の声をあげた。
「翔ちゃんに翔美ちゃん、お久し振りね!」
亜美が声をかけると、親兎二羽は、不思議そうに首を傾げた。
「亜美姉ちゃん、この子達は、翔ちゃんと翔美ちゃんじゃ…」
言いかける朱理の口を、和幸が慌てて塞いで首を振った。
「サナちゃん、覚えてる?この子達、サナちゃんの子供達なのよ。」
亜美が親兎二羽の頭を撫でながら振り向くと、希美は不思議そうに首を傾げた。
「そっか、覚えてないんだ。そうよね、サナちゃん、赤ちゃんに戻っちゃったんだもんね。」
「亜美姉ちゃん…」
私は、思わず唇を噛み締め、悲しげに亜美を見つめる愛の頭をそっと撫でた。
「爺じ…」
私の顔を見上げる愛は、頷く私に大きく頷き返した。
「サナちゃん、本物の兎さん達だよ。」
亜美は、親兎二羽の頭を撫でながら、心は五年前に飛んでしまっていたのだ。
『わあ!可愛い!』
『よかったね。ずっと、ずっと、本物の兎さん、見たいって、言ってたもんね。』
『うん!』
あの日…
優しく抱きしめる亜美の腕の中で、早苗は小屋いっぱいの子兎達を目の前に、目を輝かせていた。
三人目の赤子を取り上げられて以来、初めて見せる笑顔であったと言う。
と…
早苗は不意に、私の方を向いて…
『この子達のお母さんは?』
急に悲しそうな目を向けて尋ねた。
『この子達のお母さん…』
思わず私が言葉を詰まらせると…
『そいつは、義隆先生んちの兎だよ。子兎がいっぱい産まれたから、貰って…』
例によって無神経に言いかける貴之の頭を、これまた例によって思い切り薪木でぶん殴りながら…
『この子達、お母さんいないの。』
亜美が神妙な顔を作って言った。
『この子達を一生懸命産んで、死んでしまったの…』
『まあ!可哀想!』
思わず涙ぐむ早苗は…
『だからさ、サナちゃんがお母さんになってあげようね。』
『うん!』
亜美に子兎の一羽を抱かされると、大きく頷いて抱きしめた。
『翔ちゃん、お母さんですよ。よしよし、良い子良い子。』
早苗は、早速その子に名前をつけると、飲み手を失った乳房を出し、乳首に子兔の口を押し当てた。
「でも、お山に返してあげて、本当に良かったわね。ほら、あの時の子供達も、みーんな元気にまた会いに来てくれたものね。」
亜美は、何を言われてるのかさっぱりわからず、不思議そうに首を傾げ続ける希美の肩を抱いて、言葉を続けた。
早苗に、失った赤子代わりに可愛がられ、子兎達はすくすくと育っていった。
子兎達が元気よく育つのに合わせて、泣き暮らしていた早苗も次第に元気になっていった。
当時…
十三歳なのに、身体の作りは十歳にも満たなかったと、医師の義隆は言っていた。
その身体で、連日数多の男達に絶え間なく弄ばれ、毎年妊娠して、地獄の難産を繰り返していた。
産後の肥立ちも悪かった。にもかかわらず、床上げ早々、可愛がっていた子供を奪われた上、再び種付参拝の相手をさせられ続けた。
早苗の身体は既にボロボロであった。
その上、子兎がやってきたのと前後して、また妊娠してもいた。
とても、他の子供達のように外を飛び回って遊んだりはできなかった。
それでも、和幸の作った兎型の箱車に乗って、外に出かけ、みんなと一緒に遊び始めた。
やがて、半年が過ぎようとしていた。
子兎の成長は早い。
ある日、小屋の中を覗くと、新たな子兎がたくさん産まれていた。
『まあ!貴方達、いつの間にか、お父さんとお母さんになったのね!可愛い!可愛い!何て可愛い子達を産んだんでしょう!』
身体が弱くて走り回れない早苗であったが、この時ばかりは、小屋の中を駆け回らんばかりに、はしゃぎ出した。
しかし、子兎を片っ端から抱きまくる早苗の傍で、政樹と竜也が途方にくれた顔をしていた。
『どーしよー…』
『こんなにたくさん、飼えないよ…』
更に追い討ちをかけるように…
『こいつら、まだまだ産むぜ。』
貴之が、何処か面白がるように言った。
『大丈夫だよ。義隆の奴には、動物好きな友達が多くてな。すぐに貰い手が見つかるさ。』
私としては、皆を安心させるつもりで言った。
『そうそう!こんな可愛い子達だもん、すぐに貰い手が見つかるわ!』
『サナ姉ちゃんみたいに、優しいお母さん、早く見つかると良いポニョ。いっぱい可愛がって貰うポニョ。』
私の言葉を継いだ雪絵と茜も、むしろ、早苗を喜ばさるつもりで言っていた。
ところが…
『駄目!』
早苗は、子兎達を抱きしめながら、大粒の涙を流して声を上げた。
『お母さんから赤ちゃん取り上げないで!お母さんから赤ちゃん取り上げたら可哀想!離れ離れにしたら可哀想!』
『サナちゃん…』
『嫌っ!嫌っ!赤ちゃん、お母さんから取り上げちゃやだー!』
皆が唖然とする中、早苗は声を上げて泣き出した。
『お母さんから赤ちゃん取り上げたら可哀想だよ…可哀想だよ…』
『可哀想って言ってもな…』
『こんなにたくさんはな…』
『これから、まだまだ増えそうだしな…』
皆が、また途方に暮れて顔を見合わせる中…
『親子を引き離さない方法、一つだけあるよ。』
それまで、黙って聞いていた和幸が、口を開いて言った。
『山に帰すんだ。』
『お山に?』
『そう、山に帰してやれば、みんないつまでも一緒に暮らせる。』
すると…
『おいおい、冗談よせよ。山に帰したら、忽ち狐の餌食に…』
ゲラゲラ笑って言いかける貴之の頭を、飛び切り怒りを込め、薪木でフルスイングしてぶん殴りながら…
『それ、良いわね!』
亜美が声を上げて言った。
『ほら、この子達も大人になってお父さんとお母さんになったんだからさ、お山に帰してあげよう。』
早苗は、今度は育ててきた親兎達をジッと見つめて、黙り込んでしまった。
急に、それまで可愛がってきた兎達と別れるのが寂しくなったのだ。
『サナちゃん、どうする?』
私は、早苗の肩に手を置いて尋ねた。
『もし、人にあげるなら、私が責任持って可愛がってくれる人を見つけてあげよう。そうすれば、これからもこの子達と暮らせるし、この子達は寝るところも食べるものにも不自由しない。産まれた子供達とたまに会わせてもあげられる。
でも、山に帰せば、もう二度とこの子達に会えなくなるかも知れない。山で暮らせば、住むところも食べ物も自分で探さなければいけない。その代わり、親子兄弟は、末代まで共に暮らせる。
どちらも、間違っていない。正しい選択だと思うよ。』
その日から、早苗は何日も何日も、兎小屋に通い詰めては、ジッと考え込んでいた。
兎の親子を見つめながら、子兎を人にあげるのか、山に返すのか、悩み考え続けていた。
兎達も、そんな早苗を考え深げに見つめていた。
そうして遂に…
『翔ちゃん…』
早苗は、意を決したように、一番最初に抱いた兎を胸に抱きしめ、他の兎達に向かって大きく頷くと…
『みんな、お山で幸せに暮らすのよ。』
両頬に涙を溢れさせながら言った。
『良いのか?』
私がもう一度尋ねると…
『うん。この子達、賢くてお利口だもの。こんなに大きくなったんだもの。お山に帰っても、きっとお家もご飯もちゃんと見つけて暮らせるわ。お友達もたくさんできて、幸せになれるわ。』
早苗は、兎を下ろした手で涙を拭い去ると、満面の笑みを浮かべて頷いた。
それから半年後…
『まあ!兎さん達、遊びに来てたのね!』
亜美が兎小屋を覗くと、兎の親子に囲まれて、大はしゃぎしている早苗の姿を見つけた。
『うん!翔ちゃんと翔美ちゃんが、子供達連れて、遊びに来たの!』
正確には、その時抱いていたつがいは、早苗が飼っていた兎が産んだ子兎とその伴侶であった。
あの日、たくさん産まれた兎の一羽が、伴侶と子供達を連れて遊びに来ていたのである。
しかし、そんな事はお構いなしに…
「本当に良かったわね。翔ちゃんと翔美ちゃんが帰って来てくれて…
サナちゃんも赤ちゃんに戻っちゃったけど、ちゃんと戻ってきてくれて、私、嬉しい…とっても嬉しい…」
亜美は、希美の肩を抱きしめ頬ずりしながら、親兎二羽を撫で続けた。
それまで、懐かしい訪問者達に湧いていた子供達は、皆静まり帰ってしまった。
皆、亜美が、希美と兎達を前に、今は亡き早苗との思い出の世界に入り込んでしまってるのを見て、涙ぐんでいた。
その時…
「さあ!弁当持ってきたぞー!」
外から威勢の良い声が聞こえてくると…
「わあ!お弁当でごしゃるーーー!!!」
朱理が万歳しながら声を上げて駆け出して…
「まあ!リュウ君がお弁当持ってきてくれたわー!」
「マサ兄ちゃん!お腹すいたポニョ~!」
雪絵と茜の声を合図に…
「わーい!!!!」
と言う声を上げて、一斉に湧き上がった。
「あれ?マサ兄ちゃんに、リュウ兄ちゃん、お弁当は?」
外に出ると、愛は手ぶらの政樹と竜也に首を傾げた。
「えっ?弁当か?」
「弁当ならな…」
政樹と竜也が言いかけると…
「もう!酷いでござんすよーーー!!!調理もあっし、盛り付けもあっし、運ぶのまであっしってのはあんまりにござんすよーーーー!!!」
両手背中いっぱいに、風呂敷包みと薬缶いっぱいのお茶を抱え背負った里一が、遥か後ろから息を切らしてやってきた。
「まあ!お兄ちゃん達!また、里一さんに全部押し付けたのね!」
菜穂が目を吊るし上げて言うと、政樹と竜也は頭を掻きながら苦笑いをして見せた。
「わあ!美味しそう!これ、全部、リュウ君が作ったのー!」
「マサ兄ちゃん、凄いポニョ~!どれから食べて良いか迷うポニョ~!」
風呂敷を広げ、五段重ねのお重いっぱいに詰め込まれた、お結び、卵焼き、昆布巻き、カボチャの煮物に、蓮子、筍、椎茸、里芋の煮物を目の前に、皆目を輝かせた。
「どーんなもんだい!おいらだって、やればこんなにできるんだぞ!」
「さあ!遠慮なく食ってくれー!」
政樹と竜也が言うと…
「何言ってるんでござんすか!竜也さんと政樹さんは味見ばっかで、殆どあっしが一人で作ったんじゃござんせんか!」
里一がぶんむくれで言うと…
「まあ!酷い!宮司屋敷に戻ったら、バケツ百杯お水汲まないと!」
「お…おい…」
「そいつは勘弁してくれ…」
菜穂に睨み据えられて、タジタジの政樹と竜也の姿に一同爆笑の渦に包まれた。
「ところで、ユカ姉ちゃんは、どうしたでごじゃるか?」
朱理が、一番下のお重に詰め込まれた天ぷらを眺めながら、鼻の下を擦って首を傾げると…
「あ…ユカ姉か?」
「ユカ姉はな…」
政樹と竜也が言葉を途切らせ、大きなため息をついた。
「流し素麺の準備をして、後から来るでござんすよ。」
里一が二人の代わりに、茣蓙を敷いて弁当の準備をしながら答えた。
「えーーーー!この雪の中で冷や素麺ポニョ~!」
「昨日も素麺食べたでごじゃるよーーーー!」
忽ち、一同溜息を吐くと…
「俺達…」
「また、顔が長くなる~」
政樹と竜也が、がっくり肩を落とし込んだ。
次の刹那…
「痛えぇー!」
「いっ痛えぇー!」
政樹と竜也が頭を抑えて悲鳴をあげながら振り向くと、眉にしわ寄せ口をへの字に曲げた由香里が、拳を振り上げ立っていた。
「顔がどーなるんだって!!!」
「いや、そのあの…」
「ユカ姉の素麺は社領一、神領一、朝昼晩、ユカ姉の素麺無しには過ごせないって…な…」
「そそ、そーゆー事…」
政樹と竜也が慌てて言い繕うと…
「ってか…また、仕事全部、里一さんに押し付けたわね!」
叫ぶなり、由香里はもう一発ずつ、政樹と竜也の頭にお見舞いした。
一同から、また、明るい爆笑の渦が巻き起こった。
「ところで、権宮司様は?」
ふと、雪絵が思い出したように尋ねると…
「今日は一日、社務所番!!!この前、子守中の誰かさんにお酒飲ませた罰としてね!!!」
菜穂が、和幸を睨み据えて言った。
「えっ?僕のせい?」
和幸は、急に話を振られて鼻の頭に人差し指を乗せると…
「ちょっと待って…それじゃあ、お昼にお酒は?」
「あるわけないでしょう!」
今度は由香里に睨み据えられ、小さく肩を窄めてて、更に皆の笑いを誘った。
そんな最中…
小屋の中では、まだ、亜美が希美と二人で、訪問者達に食事をあげ続けていた。
秀行は、小屋の壁にもたれかかって、二人をジッと見守っている。
「おい、君達も…」
私が、二人に声を掛けかけると…
「爺じ…」
愛が、私の袖裾を引っ張った。
「えっ?」
私が振り向くと、愛は大きく一つ頷いて、流し素麺の準備に取り掛かる皆の方に引っ張って行った。
やがて…
「ぴょんぴょん、ちゅんちゅん、リスちゃん、コンコン、ご飯いこーね。」
希美は、訪問者達にそう言うと…
「お姉ちゃんも、いこう。」
と、亜美の手を引っ張った。
「この子達、ご飯食べたらもう行っちゃうけど、サナちゃんはもう何処にも行かない?」
亜美が、少し涙ぐんだ目を向けて言うと…
「うん。ずっと、お姉ちゃんといる。」
希美は、大きく頷いてニッコリ笑った。
「そっか。それじゃあ、ご飯行こう。サナちゃん、いっぱい食べて、早く、また大きくならないとね。」
亜美もそう言ってニッコリ笑うと、小屋の訪問者達を引き連れた希美に手を引かれ、皆の声のする方に向かって行った。